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石巻の旅 [災害]

4/22
夜10時ににゴロー君と岳ちゃんと新井の道駅に集合のはずだが、
もちろん、遅れ気味である。
いつもの旅のようなすたーとだが、
積み込むものは、水、食料、下着、靴下などの救援物資。
シャベル、テントや自炊セットなど、いつものスノーボード旅と変わらない。
新井を11:00に出発。
高速道路をひたすら走り、途中のパーキングで
エバーグリーンのデイビット率いる多国籍軍団と合流。
ハイエース3台で石巻に向かう。
僕らの乗っている車も,デイビットに借りたものだ。

不思議な感じである。
いつもスノーボードに行く仲間と、
復興のボランティアに向かっているのだ.
新潟から東北道に入り
郡山ジャンクションに向かう。
原発にまっすぐ向かっていくような気分だ。
約50kmくらいだろうか。
確実に自分の住んでいる場所より、放射能の値は高いだろう。
といいながら、窓を閉め、外気の取り入れをやめた。
石巻に着いたのは、朝の5時くらいだろ。
高速をおりると、道に大きな段差があり、車が大きく揺れる.
地震でズレてしまったのだろう。
国道沿いには、瓦礫がまとめてある。
ここまで,津波がきたのだ.
そのまま目的地の
避難所のある小学校すすんだ。
進むにつれて、道路の脇には瓦礫の山が増え、道は大きく歪み
あり得ない場所に車が重なり合い,電信柱が横たわったり、
ぶら下がっている。潰れた家も沢山ある。
窓を開けると、塩のにおいと魚のにおいが町を包んでいる.
テレビでは、わからない現場の空気。

4/23
小学校について、くるまで仮眠をとる。
出発前に連絡を取っておいた、ボランティアのボスと話をし、
雨が降っていたので、
朝,10時くらいからいろいろなところから送られてきた衣類の仕分けをした。
男物,女物,子供、スボンにジャケット,シャツに下着など様々である。
きれいにたたみ、それぞれの段ボールに分ける.
途中,住民お方々が、洋服を選び持ち帰っていく。
周りでは,遊び場をなくした子供たちが、
大人と遊んで欲しそうにしている.
少しだけベイブレードで一緒に遊んだ。
ベイゴマの現代版だろうか。

午後は、雨がやんで
個人の家の庭にある漂流物や
使えなくなった家具や畳,泥や水,魚を道に出す作業に向かう.
道に出しておくと、民間や自衛隊が重機や人力でトラックに積み込み
運んでいく,この瓦礫は何処に運んでいるのだろう。

ぼくら、9人の多国籍軍は、津波の破壊力と災害の残酷さを
感じながら、水没したモノを外に運び出す。
畳は、水がしみ込みとても重い.
冷蔵庫は、中身が腐り始め,開けてしまうとかなりの悪臭が立ちこめる。
床には泥がたまっている。
それでも、テンションを揚げて,せっせと片付ける。
ここにもう一度,住む事ができるのだろうか。
夕方には,作業が終わり,次に日の現場の打ち合わせをして、
高台にある日和山に登った。
桜の向こうに見える景色は、想像を超える世界が広がっていた。
津波が家ごと町ごと飲み込んでしまったのだ。
桜は、もうすぐ満開である。

その後,寝床に戻った。
今回ラッキーな事に、最初に片付けを手伝った方の
持ちビルに寝泊まりさせてもらえた。
もちろん電気は,来ていないがとても快適である。
夜は、いつもの旅と変わらない。
ご飯を作って、ビールを飲んで話をして寝る。

4/24
この日は,昨日の片付けをした家の弟さんの自宅と
隣のアパートの片付けである。
3人と6人のチームで分かれ、作業した.
僕とゴr−君と岳ちゃんは、アパートの一階の片付けで,
運び出すところまでの距離は近いので簡単かと思っていたが、
水産加工場の隣の建物は、沢山のサバの切り身が打ち上げられていた。
悪臭と長靴の裏から伝わる、柔らかく腐った感触。
災害から1っヶ月以上経っているが、
まだ、こういう状況が広がっている。
災害の大きさと人手の足りなさを感じる。

お昼を食べて、ボスと打ち合わせをして
次に家に、家主の方と一緒に向かった。
ドレットや大きな外国人と一輪車を押す僕らと、
頼もしい女性のボランティアを引き連れているおばさんの姿は、
なんとも不思議な面白い光景である.

この家は、昨日までの場所よりさらに海と川に近く
被害の状況は,さらにひどいものだった。
潮が上がると,道は川のように浸水し、
大きな船や車が家のヨコに存在する。
自動販売機が,家の中にあったり、建物がない場所も沢山ある。

庭に堆積した,土砂や漂流物は山のように積み重なり、
何処から手を付けていいか分からないくらいだ.
とても、このうちのおじさんとおばさんだけではやる気も起きないだろう。
それでも、総勢10人のボランティア部隊とおじさんとおばさんの合計12人で
瓦礫を運んだ。人海戦術が一番だろう。
すごい勢いで,瓦礫がなくなっていく。
おじさんもおばさんも力が入る。
おじさんは,小学校の一階で津波に飲まれて、
それでも命からがら生き延びたのだ。
おじさんは、その時の話を笑いながら話してくれた。

夕方、作業中に瓦礫に埋まっていた,
まっさらの焼酎をみんなでまわし飲みした。
忘れられない味。おじさんの笑顔、人との繋がり。
空になったボトルは、空高く飛び、瓦礫の山に消えていった。
泥だらけだが、それも気にならない。
悪くない気分である。

ボランティアのボスに報告をしにく。
頼もしいボスである.
彼女は,阪神大震災で被災し,それ以降、
災害地に足を運びボランティア活動をしている。
彼女のようなきめ細やかで豪快で、思いやりのある
行動力のあるボスが、沢山のボランテイアをまとめているのだ。
ボランティアの受け入れが,
上手く行かないのはこういう人材が足りていないのだろう。
帰り際に,おばさんがお風呂を進めてくれた.
たかが,3日だが風呂に入れるのはうれしかった。
希望の湯と書かれた,お風呂はビニールシートでできていて,周りは
大きなテントで囲われていて、
棚は,段ボールの手作りである。
お風呂は気持ちいい。
日々の当たり前の事は,ここでは当たり前ではない。
被災地だからである。
当たり前に,自分お家のお風呂にいつ入れるのだろうか。
希望の湯は、僕らにも元気をくれた。

4/25
ボランティア最終日である。
ナマケモノの僕は、結構足腰にきていた。
土砂は,雪よりも重いのだ。
昨日の家の片付けを続けた。
2時間程で、庭の地面がしっかりと見え、
車庫のコンクリート顔を出した。
泥は,土嚢袋に入れて玄関の前に
水が入らないように壁を作った。
うれしそうなおじさんとおばさんの顔を見ると
少しは役に立てた気がした。

そのまま、そのお迎えさんのお宅を片付ける事になった。
ここでは,主に庭にたまった泥を土嚢に入れて運び出した。
土を掘る人,土嚢を縛って運ぶ人、一輪車で道路まで運ぶ人、
ひたすら,作業して3時くらいに作業を終えた.
ここでも、とても感謝してもらえた。
人の気持ちが,ダイレクトに伝わってくる。

3日間で、4件の家の片付けを手伝った.
どのうちの人も、家が片付くに従って顔が変わった。
明るくなっていくのだ.
この先の道のりは,気が遠くなる程,時間がかかるかもしれない.
片付けた家にも、もう住めないかもしれない.
それでも、一つ一つ片付け,整理して、一歩一歩進む事が大切なのだろう。
一歩を踏み出すためには,人の力が必要だと思う。
国や行政や東電や政治家、官僚の人たちがしっかりと、
これからの保証やサポートをする事は、当然であり,重要な事である.
それとは別で,個人の力が、個人の繋がりによって生まれるパワーも、
もっと必要だろう。

募金や物資などのサポートもできる事だろう。
でも、1000年に一度の大災害であるなら,1000年分の2.3日を
一生のうちの2.3日を、
災害の復興に費やしてもいいのではないだろうか。
これkらを,作る若い世代が手を汚し、人々と繋がり、
災害を目で見て,肌で感じて,これkらの日本進むべき方向を
考えるべきだろう。
もちろん国は、人手が足りないエリアに手伝える人を派遣するシステム早急にを作り、
学生や企業などが、協力しやすくする事も大切である.


帰り際にまた、日和山に登った。
山に咲く桜は、満開になり散り始めていた。とても奇麗だった。
季節は,進んでいく。
眼下に見える景色は、まだ、三日前とは変わらない景色のように見えたが、
確実に一歩づつ、前に進んでいる。

夕方に花巻を出発し、結局,自分の家に着いたのは朝の4時くらいだろう。
なかなかハードな旅だったけれど、得たものは大きかった旅である。
スノーボードや遊びで繋がった沢山の仲間たちは、
こういうときにも役に立つ、楽しい仲間である。
POWER TO THE PEAPLE!!!

*みなさん,ボランティアに行く時は、行く場所や受け入れ先などの
下準備と自分たちの食料,寝床、燃料などはすべて自分で準備していってください。
もちろん、道具や必要なものも調べて、現地の人に頼らないようにして、
ボランティアに行きましょう。
これは,ボランティアであり,サバイバルでもあります.
怪我などにも十分注意してください.
平日の人手が足りていないようですので,気持ちのある方、宜しく御願いいたします。
長い道のりになると思いますので,無理せづ続けていきましょう。















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ガンガンガン速

お邪魔いたします。
感銘いたしました!!
by ガンガンガン速 (2011-05-02 12:49) 

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